
体外受精には 1回平均で 60〜80 万円という高額な費用が発生します。
しかし、2022年4月から開始した保険適用を活用し 東京都の「特定不妊治療費〈先進医療〉助成」と、市区町村の上乗せ助成を併用すれば自己負担を大幅に減らせます。
この記事では 2025 年度最新版の金額・条件・申請手順を 医師監修で分かりやすく整理しました。
この記事を読めば 5 分以内に「自分はいくら受け取れるか・いつまでに何をすれば良いか」が分かり、その日のうちに行動できます。
1. 【2025年版】東京都特定不妊治療費〈先進医療〉助成制度の全体像
ご存知の方も多いと思いますが、2022年4月から、不妊治療の多くが健康保険の適用対象となりました。具体的には、人工授精や、これまで高額だった体外受精、顕微授精といった基本的な生殖補助医療の多くが保険で受けられるようになり、窓口での自己負担が原則3割になったのです。これにより、以前よりも経済的なハードルが下がり、治療に踏み出しやすくなった方が増えたと言われています。しかし、保険適用外の「先進医療」は自費で支払う必要があります。助成金はこれらの「先進医療」に対するものとなります。
保険適用と併用して自費で行う「先進医療」のみが助成金の対象となります。(全て自費の治療や、先進医療単体での実施は対象外)
「先進医療」の例は以下が挙げられます。
○ SEET法
○ タイムラプス
○ 子宮内膜スクラッチ
○ PICSI
○ ERA / ERPeak
○ 子宮内細菌叢検査(EMMA / ALICE)
○ IMSI
○ 二段階胚移植法
○ 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
○ 不妊症患者に対するタクロリムス投与療法
○ 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別)
○ 着床前胚異数性検査(PGT-A)
引用元:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin-senshiniryou/gaiyou
1-1. 東京都特定不妊治療費〈先進医療〉助成制度の対象・助成額・回数(年齢別早見表)
妻の年齢(治療開始日) | 助成上限回数 | 助成額 (1回あたり) | 助成率 |
---|---|---|---|
40歳未満 | 最大 6 回 | 15 万円 | 先進医療費の 70% |
40〜42歳 | 最大 3 回 | 15 万円 | 先進医療費の 70% |
※東京都福祉局「特定不妊治療費〈先進医療〉助成事業の概要」2025 年 4 月改定より
1-2. 保険適用と不妊治療助成金の併用ルール
- 体外受精・顕微授精 本体部分は保険適用(自己負担 30%)。
- タイムラプス培養・ERA 検査など 先進医療部分は全額自費 → 東京都が最大 15 万円助成。

1-3. 2025 年度の不妊治療助成金申請スケジュール
治療終了日が 2025 年 1〜3 月の場合、2025 年 6 月 30 日(当日消印有効/電子申請は当日送信分まで)が最終締切です。
それ以外は「治療終了日の属する年度末(3 月 31 日)」が原則締切となります。
2. 【2025年版】東京都「上乗せ」不妊治療助成金 早見表(都心5区抜粋)
区名 | 上限額 (1回) | 助成率 | 独自要件 | 公式リンク |
---|---|---|---|---|
港区 | 30 万円 | 自己負担額の 100% | 所得制限なし | 港区公式 |
渋谷区 | 10 万円 | 自己負担額後の差額 | 東京都助成決定後に申請 | 渋谷区公式 |
千代田区 | 5 万円 | 先進医療費の一部 | 夫婦いずれか区民 | 千代田区公式 |
世田谷区 | ―(制度終了) | ― | 東京都制度のみ利用可 | 世田谷区公式 |
新宿区 | ―(なし) | ― | 情報提供のみ | 新宿区公式 |
※区ごとに随時改定があります。住民票の移動を検討する場合は必ず最新情報を確認してください。
3. 不妊治療助成金申請手続き完全マニュアル(電子申請対応)
- 治療終了後、医療機関に「受診等証明書」を依頼(3〜5 日)
- 電子申請フォームへアクセス
東京都電子申請ページ - 住民票・所得証明書などを PDF で添付
- 3〜4 か月後に承認通知 → 支給(銀行振込)
3-1. よくある不備と解決策
- 受診証明の日付誤記 → 再発行依頼
- 住民票の世帯全員記載漏れ → 取り直し
- 区助成と重複申請 → 区は東京都決定通知の写しが必要
4. 不妊治療助成金を期限内に完了させる To-Do リスト
- □ 治療終了から2 週間以内に受診証明書を取得
- □ 住民票・所得証明書をコンビニ交付
- □ 電子申請フォームに入力 → 添付
- □ 区の上乗せ制度があれば 1 か月以内に別途申請
- □ 支給決定後、振込口座を確認
5. よくある質問(FAQ)
- 助成はいくらもらえますか?
-
先進医療費の 70%、最大 15 万円/回です。区の上乗せがある場合はさらに減額されます。
- 夫婦合算所得の制限はありますか?
-
東京都制度は 所得制限なし です。ただし区の制度では制限が設けられている場合があります。
- PGT-A、PGT-SR(着床前遺伝学的検査)も助成金の対象になりますか?
-
2025年6月時点では対象外になります。
7. 不妊治療助成金まとめ & 次のアクション
- 東京都助成:70%・上限 15 万円/回
- 上乗せ助成:港区 30 万円・渋谷区 10 万円など区により差
- 申請締切:原則 3 月 31 日(1〜3 月終了分は 6 月 30 日特例)
- 行動ポイント:治療終了 → 2 週間以内に書類取得 → 電子申請