
本記事では筆者が経験したリアルな体験談をお話します。私自身第一子を38歳で出産、第二子を41歳で出産しました。不妊治療はゴールが見えないマラソンのようですよね。少しでも不妊治療を頑張る方の役に立てたらと思い記事を書いてみました。
37歳から妊活開始、流産3回を経験。染色体異常が見つかる
3年ほどお付き合いしていた方と結婚前に自然妊娠し、妊娠をきっかけに結婚しました。しかし、12週のタイミングで流産。まさか自分が流産するとは思わず、とてもショックでした。
心拍もしっかり聞こえており、成長も順調だったのですが、診察で「お腹の中で亡くなっています」と言われたとき、病院で泣き崩れてしまいました…結果的に流産手術をすることとなり、お別れをしました。
その後、また自然妊娠するも8週で流産。2回目の流産手術を行いました。(手術を経験した方はわかると思いますが、喪失感や子宮の負担もあり心身ともに疲弊します。また手術後は3ヶ月妊活ができません)
流産1回はよく聞くけど、2回連続で流産するということは何か問題があるのでは…と考え始め、念のため検査を行いました。
遺伝子検査の結果、私に染色体異常があり「ロバートソン転座」あることが分かりました。

ロバートソン転座(Robertsonian translocation)とは?
染色体異常の一種で、2本の「アクロセントリック染色体(短腕が非常に短い染色体)」が癒合して1本になる現象です。主にヒトの13番、14番、15番、21番、22番染色体で起こります。保因者は通常健康ですが、減数分裂時の染色体分配で「不均衡配偶子」が生じる可能性があり、次世代に影響します。
今まで大きな病気もせず健康に生きてきたので、このような疾患を持っているということに大変驚きました。
病院の先生曰く、不妊症ではなく不育症(=妊娠はするが流産する確率が高い)であり、正常な受精卵ができる確率が普通の人の約20%ぐらいと言われました。
選択肢としてはこのまま流産する可能性が高いが妊活を続けるか、PGT-A(着床前診断)を経て不妊治療をするかの二択であると言われました。



PGT-A(着床前診断)とは?
体外受精で得られた胚(通常は胚盤胞)から数個の細胞を取り出し、染色体の数の異常(=異数性:トリソミーやモノソミー)を検査する技術。要は移植前に胚盤胞の検査をし、正常な胚盤胞のみを移植するという不妊治療になります。一般診療では禁止となっており、条件に該当する場合のみ治療が可能です。
年齢踏まえた上で、このまま流産を繰り返すことは体への負担や時間的制約を考えてもありえないと判断し、不妊治療に踏み切りました。
その後また自然妊娠をするも、また流産してしまっため自然妊娠はリスクが大きいことから諦めることにしました。
いずれにせよ原因がはっきりしたので、後は不妊治療をやるだけだ!と気持ちを切り替えたのですがその後も大変な道のりが続きます。
不妊治療開始、1回の採卵で60万円…
不妊治療で有名かつ職場からも近い加藤レディスクリニックに通院することを決めました。
加藤レディスクリニックについてはこちらの記事も参考にしてみてください。


加藤レディスクリニックはとてもDXに力を入れられており、あらゆることを効率化されていることから待ち時間もそこまで長いようには感じませんでした。
また、AMHが低い私にとってはホルモン注射で刺激したとしても卵子の数が多く取れるわけではないため、加藤レディスクリニックの自然周期に近い形での治療法が合っていました。仕事も忙しくしていたため、麻酔なしの採卵方針であることから体の負担が少ないことも大きかったです。



AMHとは?
AMHとは「抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone)」の略称で、卵巣内の発育途中の卵胞から分泌されるホルモンです。AMH検査は、このホルモンの量を測定することで、卵巣内に残っている卵子の数を推定し、「卵巣予備能」を調べるための検査です。筆者の場合は数値が低く、残りの卵子が少ないことがわかりました。
当時はまだ不妊治療は保険適用ではなく自費プラス助成金での不妊治療でした。
PGT-Aは通常の不妊治療に加え胚盤胞の検査費用もかかったりすることから、1回の採卵周期の費用が約60万前後と非常に高額でした。
幸いにも1回目の採卵で正常な受精卵ができましたが、できるだけ若い時に受精卵のストックを持っておきたかったため、その受精卵は凍結し、そのまま採卵を継続しました。
しかしその後5回採卵をしても全て検査で遺伝子異常が見つかり、結果的に最初の受精卵しか残りませんでした。
採卵によって受精卵ができても、遺伝子検査でNGが連続し心身も疲弊していきました。うまくいってもいかなくても1回の周期に60万円かかるため、どんどんお金も減っていきますし、仕事をしながらの通院かつ職場にも公に言っていなかったので精神的にもまいりました。
38歳、第一子出産
本当に妊娠・出産できるのかとても不安でしたが、最終的には1回目の採卵の受精卵を移植し、特に大きな問題もなくそのまま無事第一子となる男の子を出産することができました。
加藤レディスクリニックには本当に感謝です。
今となってはこの苦労が実を結んで可愛い我が子に出会えたので後悔は全くありませんが、不妊治療は本当に長く険しい道のりでした。
金額面では、正確に計算したわけではないですが、1年くらいの期間合計で350〜400万円は使ったと思います…
途中から不妊治療が保険適用に変わったのですが、PGT-Aは保険適用外となりALL自費でした(悲しい)。しかもそのタイミングで助成金もなくなったので、PGT-Aで治療をしている方は本当に金銭的に負担が大きいと思います。
40歳、ダメ元で第2子の妊活開始
1人目の子育ても落ち着き、もともと子供は2人・できれば次は女の子が欲しいと思っていたこともありダメ元で妊活を再開することにしました。前述の通り受精卵のストックはなかったので、また1からスタートです。
正直もう一度妊活するのはかなり腰が重かったのですが、ダメでも仕方ないという気持ちもあったので1人目の時よりは余裕をもって不妊治療をすることができました。



2人目妊活の落とし穴
1人目の子が帝王切開での出産となったのですが、帝王切開の場合、出産後9ヶ月経たないと採卵ができない(病院によって判断は異なります)ということを知らず、かなりスタートが遅れました。もし、2人目の不妊治療を考えている方がいればご注意ください。
既に40歳になっていたこともあり、採卵スピードを上げる必要があったため自然周期を重要視する加藤レディスクリニックではなく、一度に複数の卵子が採れるであろう杉山産婦人科に行ってみることにしました。
杉山産婦人科についてはこちらの記事も参考にしてください。


杉山産婦人科で採卵自体は複数個成功し、受精卵も3つできたものの結果的にPGT-Aの検査に出せる胚盤胞の状態まで成長せず終了。私の場合は数より質の方が大事なのかもしれないと思い、結局加藤レディスクリニックに戻りました。
その後加藤レディスクリニックにて4回の採卵を経て、PGT-Aの検査に出した胚盤胞が「判定不能」と返ってきました。
特にクリニック側のミスなどではなく、単純に判定ができなかったという結果らしいです。先生からは、再度胚盤胞を融解して検査をするか、移植してみるかの二択であると言われました。
再度胚盤胞を融解して検査をした場合のリスクはないのか?が気になりましたが、今までそれによる障害等はなかったということで再度検査に出すことに決めました。
結果、その胚盤胞は正常であることがわかり、移植し無事第二子を妊娠することができました。
幸いにも妊活再開から約半年くらいで妊娠に至ることができました。
結果的に、第一子・第二子の不妊治療だけで総額500万円は使ったと思います。
41歳、第二子出産
そこから大きなトラブルもなく、41歳で無事出産を迎えることができました。
産声を聞いた瞬間、今までの苦労や生命の尊さ、色んな思いが込み上げて号泣してしまいました。
結果的に2人も授かることができましたが、40代の妊娠・出産は体力的に非常にハードです笑。ぜひ1日でも早く妊活をすることをお勧めいたします。
不妊治療を頑張っている方々へ
ゴールが見えずに苦しんでいる人もたくさんいると思います。
仕事との両立や体力的・精神的・金銭的にも辛いと思いますし、どれだけ頑張っても成果に繋がるとは限らないのが不妊治療のしんどいところかと思います。
大事なのは自分が納得いくまで続けることだと思います。うまくいってもいかなくても、後悔しない選択をしてください。
このメディアを通じて、少しでも不妊治療のお役に立てれば幸いです。

